後ろ姿

 

後 ろ 姿 / ナ ツ メ リ ュ ウ イ チ

 

 

後ろ姿が似てただけ

そんなに好きな方じゃなかったのに

何だかざわめいて

これはきっと肌寒い風のせい

 

口を開ければ愚痴ばっか

まだ初めの方は良かった

君と話せればいいぐらいに思ってた

だが次第に外れてく箍

こちらに向き出す矛先

当初の標的はどこかに

底なしに空いてくグラスとグラスとグラス

棘だらけの言葉でまた毒吐く

そこからはもう火に注ぐアルコール

そこらに中に転がる缶とボトル

的確なディスとパンチラインに

防戦一方のままラウンド50

と思いきや無言でいきなり立ち上がり

布団の上で勝手にダウン

寝顔についついこぼれる笑顔

ああまたこのパターン何回目だもう

 

後ろ姿が似てただけ

そんなに好きな方じゃなかったのに

何だかざわめいて

これはきっと肌寒い風のせい

 

離れた後は

むしろ清々しい気持ちだった

何事も無かったように

リセットされた日々

自由を謳歌していたけれど

何か置き忘れてきたような感じがしていた

おはようから始まり

おやすみで眠りにつくまで

途切れる事なかった君のメッセージ

あれから手の中で光るディスプレイは

ずっと黙ったまま

時だけを告げる

 

後ろ姿が似てただけ

そんなに好きな方じゃなかったのに

何だかざわめいて

これはきっと肌寒い風のせい

 

時が経つほどに

嫌なところから忘れていくのはなぜ

街で君を見かけたような気がして

人違いだった時に初めて気付いた

 

後ろ姿が似てただけ

こんな気持ちになる事なんて無かったのに

なんだか恋しくて

そうかきっと

 

二人素直になれなくて

こんな風になるはずじゃなかったけど

今でもざわめくのは

そうさきっと肌寒い風のせい

 

 

作詞作曲/ナツメリュウイチ

 

あとがき